杉田勝です。
新型コロナの影響で新興国からの資金流出が加速しています。
それもこれまでに考えられなかったスピードでそれが起こっているようです。
流出ペースはリーマン・ショックの約4倍に達したと5月3日の日経朝刊にありました。
その証拠に今年に入ってから新興国の通貨は対ドルで下がって来ています。
新型コロナウイルスの感染拡大で急速に進む財政悪化への不安が強まっているためですが、急速な通貨安で新興国のドル建て債務の負担はさらに増すことになるからです。
19年末比の対ドル相場の落ち込みが最も大きい新興国通貨は約40%(4月25日に最安)下げたブラジルレアルで、対円でも4月下旬に最安値を更新し、4/27に30%の下落を記録しています。
次に下落の激しかったのは南アフリカランドで、4/23に36.5%の下げとなっています。
対円では27.4%の下げになっています。両通貨ともその後落ち着き始めています。
ただ、下げが止まらないのがトルコリラ。
対ドルでは4月下旬の最安値ポイントで17.4%の下げに留まっていますが、トルコリラは前出の2つの通貨と違って、直近でも最安値を更新し続けているのが気がかりです。
トルコでのコロナ禍の大きさは、発展途上国内では図抜けて大きくなり始めていることも一因となっているのかもしれません。
トルコは新型コロナの感染者は直近では133,721人(世界9位)、死者数3,641人になっています。
ちなみにトルコの人口は8,315万人です。
本日は、空売り規制を適用したので少し戻していますが、5/7の時点でトルコリラは対ドルでも対円でも史上最安値を更新してきています。
エルドアン政権は高金利政策と断続的な介入で2年前に付けた史上最安値以来対ドルで27%アップ、対円では45%アップしましたが、昨年シリア侵攻をして戦費に加えシリア難民の流入が続きそのコストもかさむ状態で、今回の新型コロナウイルスの打撃で、トルコに、再び大きな介入をする力が残っているのかどうか?
また、さらに気になるのはすでに大きくなっているトルコの対外債務の大きさです。
対GDP比では、2019に58.0 %に達しています。
先行きに大いに不安が残ります。
トルコリラは対円では15円を切り始めています。
3月にFRBが無制限の金融量的緩和をすると発表しました。
FRBを中心としたG7の中銀が必死に市場の火消しに動くものの、これ以上発展途上国から資金が流出するようなことになるとコントロールが効かなくなってしまいかねないですね。
シートベルト締めねば!
杉田 勝