コラム

ビットコインは逃避通貨か?

杉田勝です。

マクロ・ヘッジファンドトレーダーとして有名なポール・チューダー・ジョーンズ氏が、最近ビットコインを大量に買ったようです。最大時130億ドル(1兆4,000億円)、2018年時点で72億ドル(7,700憶円)のグローバルマクロ・ヘッジファンドマネージャーがメインに使っている取引手法は、エリオット波動による逆張りで、数日から数週間というスウィングトレードを得意としていることで有名です。

そのジョーンズ氏ですが、ブルンバーグによれば、「ジョーンズ氏によれば、「チューダーBVIファンド」はビットコイン先物にパーセントにして最大で1桁台前半を資産配分する可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大に伴う打撃を緩和するため、巨額の財政出動と中銀による債券買い入れが行われている意味合いを考慮し、ビットコインをじっくり検討する気になったという。

ジョーンズ氏(65)の計算では、全世界の国内総生産(GDP)の6.6%に相当する3兆9000億ドル(約415兆円)の貨幣が2月以降増発された。
「グローバル規模で、しかもこれほどのスピードでそれは起きており、私のような市場のベテランでさえ言葉を失う。先進国世界がこれまで経験したことのない未曽有のあらゆる形のマネー膨張、グレート・マネタリー・インフレーションをわれわれは目撃している」と同氏は指摘した。」とあります。

氏が指摘するように、FRBによって本当にすごいドルが刷られています。これで近い将来インフレにならないわけがありません。
ところで、ジョーンズ氏のBVIファンド運用額が72億ドルだとすると、ビットコインに資産配分する割合が1桁台前半というのが4%だと仮定すれば2.8億ドルなので、300億円相当のビットコインを購入した計算になるわけです。

一方、彼の手法がエリオット波動を使った反逆張りであるとすれば、今年3月につけた3,800~5,000ドルの底がエリオット波動の2波の終了点と読んだのでしょうか?つまり、そこからの1万ドルを超え始めた今の上昇波は3波の始まりということになるでしょうか?とすれば、ビットコインはここから何倍にも化けることになると彼は見ているのかもしれません。

暗号資産の半減期はマイニング報酬が半減する時期で、ビットコインはこれまで2度、半減期を迎えました。2012年にマイニング報酬は25ビットコインと、それまでの50ビットコインから半分に引き下げられ、ビットコインの価格は1年間に8200%上昇し、2016年に2度目の半減期を迎えたビットコインは、その後18カ月間で2200%を超える値上がりを記録しました。

そして、今回3度目の半減期が5月11日の週の18日前後に半減期が来ると見込まれていましたが、その半減期は日本時間12日午前4時23分、プログラムされていた半減期を迎えた模様です。それを期に1ブロックあたりの報酬が半減し、6.25ビットコインとなったとのこと。

ビットコインはアジア時間5月8日午前の取引で一時2.2%高の10,015ドルと、2月24日以来の1万ドル台乗せを果たしました。3月に原油が暴落したときにはやはりかなり下げました。BITSTAMP社によれば、3月に9,200ドルあった価格は3,800ドルまで暴落しています。世界的な金融市場の動揺とは無縁ではいられないということです。直近では、先週末8日(木)に10,000ドルを超えたところから、8,200ドルまで急落しましたが、半減期以降。現在は9,580ドルまで戻しています。

ジョーンズ氏の読みが正しければ、ビットコインの理論的な下値は3,800~5,000ドル、長期的なエリオットの上昇ターゲットは何万ドルと桁が一つ上の話になりますが、2017.18年に起こった仮想通貨のブームが再来するのでしょうか...?

杉田 勝