杉田勝です。
米国大統領選まで4カ月となってきました。数々の世論調査ではバイデン氏がリードしているようですが、4年前のクリントン大統領確実とまで言われた後に大ドンデン返しがあっただけに米国マスコミを鵜呑みにするわけにはいきません。
いろいろなメディアによると、今米国は反中に傾いてきています。3分の2の米国人はアンチ中国となっており、今回の新型コロナの感染者の爆発的な増加は中国に責任があると、8割近い米国人が考えているという世論調査があります。最近の対中政策法案たとえば、香港人権民主主義法案、台北法案、ウイグル人権法案などなど米国議会は超党派で通過しています。
「中国たたき」が今回の大統領選挙の争点のひとつになっています。ということで、最近のトランプ大統領の発言は、ますます反中度合いが増してきています。また、大統領選挙で中国がジョーバイデンを応援していると頻繁に主張するようになっています。
オバマ前大統領と、バイデン副大統領は以前は中国と「ずぶずぶ」ということは周知の事実ですが、世論の変化に従って、バイデン候補も、民主党の大統領予備選挙が激化するにつれて、より厳しい調子を採用し始めていました。
ここ数ヶ月間、バイデン候補は習近平国家主席を「凶悪犯」「悪党」と表現し、香港の民主主義デモ参加者の「並外れた勇気」を称賛し、中国の「略奪的な」貿易慣行を非難するようになりました。バイデン氏は新疆ウイグル地区でのウイグル人ムスリムの大量拘禁を「道から外れた」こととしています。
さて、最近まで、中国が実はトランプ氏の再選を望んでいるとの報道はとても考えにくかったのですが、6月15日のブルームバーグには大変興味深い記事が載っていましたのでご紹介したいと思います。ブルームバーグの記者が中国の現高官、元当局者9人にインタビューした結果のようです。
「米国の貿易不均衡からCovid-19までのすべての理由で、北京を非難した過去4年間の大半を費やしてきたにもかかわらず、現職大統領に有利な感情の変化が示されています。その主な理由はアメリカの戦後同盟国との関係亀裂が起こってきていることで、両国の貿易紛争や地政学的不安定さによる中国がかぶる損害よりもさらにメリットが大きいと思われるのがその理由。
ホワイトハウスに誰がいても米中の緊張が高まるだろうことは共有されているが、民衆党政権は地政学的利益を強調した人々や貿易関係を懸念した人々にの間に割り込んでいく。元副大統領バイデンは、伝統的な民主党員なので、米国のボロボロの多国間関係を修復し、貿易摩擦問題を解決しようとするとみている。」
要するに、過去4年間トランプ氏は「America First」政策で、主要な貿易相手国に関税を課し、米国の長年の同盟国であったNATOヨーロッパ連合国に集団的防衛のためにより多くの支出を要求したり、パリ協定から撤退するなど「独りよがり」の政策が目立ち、日本の安倍首相(+オーストラリアのモリソン首相)以外に友人がいなくなってきている。そのために、中国としてはヨーロッパ諸国にファーウェイの5G通信装置を売り込んだり、マスク外交で東欧諸国と緊密な関係を作り上げることに成功して
きた、ことなどを言っていると思われます。
つまり、バイデン氏率いる民主党政権が、多国間協議に復活し、同盟国と協力して対中戦線を提示した場合、さらに手ごわいものになる可能性があることをいっているのかと思います。
杉田 勝