コラム

オーストラリアと中国の関係悪化

杉田勝です。

中国とオーストラリアの2国関係が最悪になっているようです。

これまで、豪経済、豪ドルといえば中国の景気次第というのが市場の常識ですが、これからは様子がかなり変わってくるかもしれません。
2国間の関係が悪化するきっかけとなったのが、中国がオーストラリア政府や民間団体への大規模なハッキング行ってきたところから始まっているようです。
これに対しオーストラリアのモリソン政権がこれまでの政権の対中政策を180度転換し、オーストラリアの中国依存経済から方向修正を加えることにしたと伝えられています。

2国間関係が悪化した発端は、オーストラリアがWHO(世界保健機構)の年次総会で今回のコロナ禍での中国の責任を調査すべきという議題を掲げたことから始まっています。
中国はその報復としてオーストラリアからの大麦の輸入関税を80%に増額、オーストラリアンビーフの輸入禁止、中国で逮捕されていたオーストラリア人の死刑判決、オーストラリアへの渡航禁止と、矢継ぎ早に対抗策を取り始めています。

ところで、気になるオーストラリアマーケットですが、中国との決別という方向修正にかじをきって豪株価とオーストラリアドルが急落したということはありません。
オーストラリアを代表するオールオーディナリーズ株価指数は他国並みの値動き。
豪ドルはむしろ上昇気味です。

モリソン首相といえば、世界でお友達が安倍さんしかいないトランプ大統領の2人目の味方。モリソン政権はトランプ式の経済政策をとり始めていて、減税策をとっています。
それが評価されているのかもしれませんが個人の日本人投資家達が豪ドル債を大量に買っているため、豪ドルが強くなっている理由になっています。
豪ドル債は日本人個人投資家にとって今一番利回りの良い投資先になっているからです。

中国の指標が出るときの豪ドルの反応を中止してみましょう。これまでとは違ってきているはずです。
ただ、当然のことですが、中国の締め付けにあっているので、輸出立国オーストラリアの経済指標も徐々に悪化していくものと思われます。
ここからの豪株価、豪ドルの動きに注目です。

杉田 勝